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ジュニーニョの無回転ミドルシュートがゴールに突き刺さる。ブラジルの2点め。フランスのリヨンでプレーするジュニーニョは世界でも随一の無回転シュートの名手。フリーキックで一発決められそうだと思っていたけれど、ミドルだったか…こんな選手がベンチに控えているのだから。 玉田の(やっとフォワードらしい)ゴールで先制した時は微かな期待を抱かなかったといえば嘘になるが、やっぱりブラジルは甘くなかったね。終盤はゴールキーパーを交替させられるという、真剣勝負では珍しい光景…屈辱。 前半ロスタイムに許した同点ゴールは、ロスタイム表示が出た時に「中澤、後ろで回してろ!」って言ったんだけどね。聞こえなかったみたい。ガクンと集中力が落ちてたよね。 もっとも、前半を1-0で終えていても、結果は変わらなかっただろうけど。 それくらい、後半は最初から運動量もガタ落ち。日本選手はスタミナがないのか? いや、そうでもない。結局はコンディショニングの失敗と思われるのだ。どう見たってそうでしょ。それともう一つは、やたらと消耗する戦い方をしているということ。 確かにボールを追い回したりプレスをかけなくちゃいけない。だが、そこに組織的なメソッドや意思統一というかディシプリン(規律)がないから、各自がバラバラに走り回りすぎて早々にガス欠…ということじゃないか。 今大会の日本代表、皆さんのご期待をまったく裏切ってしまいました。私もガッカリ。 日本サッカー協会には早急に日本の皆さんへの謝罪を要求したいです…これほどまでに落胆させる結果を招いた責任は、やはり、監督選びを含めて代表チームの強化・マネジメントをしている日本サッカー協会に存在するし、それによって実に多方面のいろいろな部分に影響が及ぶのだから。地上波TVの視聴率だって、オーストラリア戦の酷い負け以降、きっと思惑外れの数字で推移しているし。 でも、「わかってる」サッカーファンや専門家はこのような結果も高い確率で予測していたはず。 私もこのコラムで、3連敗もありうる、と書いたことがあります。ではなぜそのような予測も(容易に)成立していたのか、問題点をしっかり洗い出すことが絶対に必要。でなければ、これからも国内に置いて「代表人気」は続くであろうけれども、いつまでたっても同じ過ちを繰り返すだけ。何十年もかけて地力やら歴史やら何やらがジワジワと身についていくのでイイなら構わないけど、そういうわけには行かないだろう? 全然待てないでしょ? 私は待てない。だからこそ、きちんと総括をしよう。 だから私も、ジーコ監督の日本代表(フル代表)4年間の総括を早速始めることにしましょう。本当は今日から始めたくなかったのですが。 日本代表4年間の総括(その1)…スターシステムの功罪 ブラジル戦でもベンチの宮本の大写しが何度もインサートされた。ご存じのように、ワールドカップのような大きな大会では「国際映像」が使われる。が、それに各国の独自映像が適宜インサートされている。宮本の大写しは、まさに独自映像に間違いない。 日本サッカー協会は、日本代表の人気拡大(人気の巨大化)によって、大手の広告代理店やスポンサーが群がる超・優良「企業」へと急速に成長した。世界でも有数の莫大な年間予算を持っている日本サッカー協会。当然、広告代理店やらスポンサーやら何やらとゴニャゴニャした事柄があれこれ発生してくる。 その代表的なものが我々が「スターシステム」と揶揄するものだ。宮本は確かに人気がある。だが、スターシステムによって本来の実力や能力が誇大広告されたり、観るほうにも過剰な期待感や妄想(?)を植えつけてしわまなかったか。現に、今大会の日本代表の選手の中には、ワールドカップに出るレベルにあったとは言い難い選手も何人かいたように思われるのだ。それはブラジル戦を見ていればより顕著になる。 そうしたスターシステムによって、マスメディアや一部のサポーターやファンの方が、大きな勘違いをしてしまっていたように思われる。贔屓の選手を応援したり、人気選手が生まれるのは良いことだ。が、人気とかとは別の次元で(人気と並行して)もっと本来の実力や能力を見極められる能力が、我々にも求められる。我々、そしてそれ以上にマスメディアに。大手広告代理店が怖くて「書けない」のなら、それはメディアではない。 フットボールは、ワールドカップは、人気選手による「興行」のノリでは絶対に勝てない。そのことを今大会で壮絶に体感させられたのではないか。 ところで、Issyによると、このコラム、今回が100回めらしい…まったく知らなかった。その記念すべき100号が「総括」の始まりとは、またイキなもんです。(2006/6/23) |