世界のサッカーでもっとも気になるのは、やはりイタリアのセリエAです。中田英寿選手が所属しているASローマが優勝するかどうかでしょう。中田選手はレギュラーで出場しているわけではないですが、世界最高峰のサッカーリーグ・セリエAの優勝チームに日本人がいるということは、本当にすごいことです。残り試合もわずかですし、ローマの優勝も目前ですが、このセリエAというのは、最終戦までもつれることがよくあるので、また油断は禁物、目の離せない状態です。
中田英寿選手の所属しているASローマは、世界のスター選手の集まりです。イタリア代表、アルゼンチン代表、ブラジル代表など、ほとんど世界選抜といってもよいくらいです。それだけに試合に出場することは難しいのですが、中田選手の場合は外国人枠という制限もあり、ベンチにさえも入れない時期もありました。 また、たとえベンチ入りしても、中田選手がもっとも能力を発揮できるポジションには、イタリアで人気、実力ともに兼ね備えたスター選手「王子様トッティ」「アンタッチャブル・トッティ」ことフランチェスコ・トッティがいるので、なおのこと中田選手が試合に出ることは難しいのです。 そんな厳しい状況下でも、中田選手はやってくれました。彼も「イタリアに来て最高の日」と語った、5月6日のユベントス戦です。0-2でローマは負けていたのですが、後半15分にあの「王子様トッティ」に代わって登場した中田選手は、1ゴール1アシストの大活躍で、2-2の引き分けとしたのです。この試合にローマが負けると、優勝も危ぶまれる大事な試合での活躍ですから、このまま優勝すれば、中田選手はローマの伝説になるでしょう。「ナカタというジャポネーゼがね…」という具合に。 私が見ていて嬉しかったのは、中田選手のゴールに、スタメンでない選手が主に喜んでいる姿でした。試合に出たくても使ってもらえない状況下で、プロとしてのコンディションを維持することの難しさ、さらに結果を出す難しさをみんな知っているわけですから、控えの選手は自分のことのように嬉しかったのでしょう。その姿がとても感動的でした。 まだ決まったわけではありませんが、ローマの優勝はもうすぐです。セリエAの最終戦は6月17日なのですが、最終戦までもつれるようであれば、ローマは危ない時でしょう。毎年、セリエAはスリリングな展開で、最終戦で逆転優勝ということもありますが、今年のローマはそうならないで優勝してくれればハッピーです。そして中田選手には、ぜひ来シーズンは他チームで、存分に活躍してほしいと願っています。(2001.5.25)
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