Q. レシピ通りに作れても応用がききません。

結婚したばかりの33歳の主婦です。私は、結婚するまで家事をやったことがありませんでした。今、一番の悩みは料理です。料理の本を見ながらつくればいいんだから簡単……と結婚前は思っていましたが、材料を添えてレシピ通りにつくった後、残った材料が活用できません。例えば、マリネをつくるのにケッパーを買ったのですが、余ってしまいました。でも、その他にケッパーを使う料理なんて知らないから、結局腐ってしまってゴミ箱へ。レシピ通りにはつくれても、応用がききません。どうしたら応用がきくようになるのでしょうか。
(ともみ・33歳・主婦)

 

 

 A. 「味を知る」ことからスタートしましょう

新米主婦さん、こんにちは。結婚するまで家事をやったことがなかったとのことですが、私は家事のデビューは早くても遅くてもいいと思っています。やらなければならない時期というのは人それぞれですから、これからでも十分やっていけるでしょう。一番大切なのは「やる気」です。家事はイヤイヤやっていては進みませんし、いつまでたっても効率よくこなすことができないでしょう。そうなるとますます億劫になっていきますから、何ごとも楽しむ気持ちと工夫が必要です。

お料理もおんなじです。料理本の著者がこんなことをいうのは変かもしれまもせんが、料理本はあくまでも参考書です。最後の味付けはご本人次第。さじ加減も、材料の選択も、家族にあったものにつくり替えていくと、料理がもっともっとおもしろくなっていきますし、自分の味ができていきます。レシピ通りの材料をそろえる。そのときに知らない味があったなら、まずはその材料の味を確かめてみることです。お好きな味なら、少し多めに使ったり、ほかの料理に使ってみようという気になります。あまりお好みでなかったら、次からはその材料は省いてつくる。そうしていくと、応用の範囲が広がっていくと思います。ケッパーを使う料理を知らないから腐らせてしまったのではなく、ヶッパーそのものの持つ味を知らなかったから、使う機会がなかったといえるのではないでしょうか。

以前こんな質問を受けたことがあります。「お土産に唐辛子の塩漬けをもらったのですが、どう使ったらよいですか?」というものでした。私は、「まずそれを召し上がってみてください。そうしたら、絶対に料理のイメージがわいてくるでしょう」と、お答えしました。知らない味を料理することは、料理家の私にも無理です。ですから、まずは素材をかじってみる、なめてみて、味を知ることから始めましょう。

料理はつくることではなく、食べることから始まります。たくさんたくさんおいしいものを食べましょう。食べると自然に味のイメージができていきます。食べることが好きなら、きっときっとおいしいものをつくることができるでしょう。私はそう信じています。最初は本をたよって、時間がかかってもいいと思います。でもいつの日か、自分の味をつくってください。

みなさんが本のレシピからイメージして、そこからまた新たなレシピの誕生することを願って、私は日々「おいしい本」作りに励んでいますよ。