RYONの後輩に、とっっってもかっこいい男の子がいる。
たいてい男の子のグループって3人組のひとりがかっこいい、とかなんだが、彼らは3人が3人、みんなかっこいい。
観月ありさと同じ顔、稲垣吾郎バリのさっぱりクール、加藤晴彦みたいな不良系。しかも外見だけではなく奴らは、「会計士の資格を2年で取得し今サーファー」とか「某百貨店で社長コースまっしぐら趣味競馬」とか、中身まで充実してるのである。
そんな3人にRYONは、飲み会の帰りに送ってもらうことになった。
……3人のうち、誰でもいいぞ……、おい……。
しかしその日、RYONはバカみたいにガブガブ飲んでいた。大学サークルのOB会だったのだが、右手にワインボトル、左手に焼酎の瓶を持ち、あっちこっちのグループに顔を出しては勝負を挑み、ワインや焼酎を吸収していった。
帰る頃にはすっかり水平線が分からなくなり、頭はぐるぐる回っていた。
彼らにRYONの荷物を持ってきてもらい(飲み会場でRYONの荷物を探すのは至難の業であったろう)、RYONは車に乗った。
RYONは酒を飲むと、体の中の器官が一本の管になるらしい。ビールなんか飲めば飲んだ分だけトイレに行く。
車に乗ってすぐ、「……トイレ……」。RYONはぐずりだした。
彼らはコンビニを見つけ、止めてくれた。トイレに直行したRYONは、水分を放出したとたん、ものすごく気持ち悪くなった。
「うう……、でもがまん……」
できんっ!
がぁ~!っとRYONは半固形物を放出した。
……ふぅ。
洗面台で口をゆすぎ、何気ない顔をして「お待たせ~!」と出ていった。
「……RYONさん、吐いた?」観月が聞いた。
「ん? 全然!」
車に乗せてもらっている手前、吐いたなんて言ったら心配されてしまうだろう。
その後、RYONは体の中のアルコールを程良く放出したおかげで、めちゃめちゃご機嫌に、はしゃぎまわった。車の中で。
最初、適当なところで降ろしてもらう約束だったのだが、観月は「やっぱり家まで送ります」と言う。……そうか。……ふふふ。RYONの家のありかを知ったら、いつでも来てくれ。
「じゃ、またね!」RYONの家の前で車から降り、部屋に入った。顔を洗って寝ようかと、洗面所の鏡を覗き込んだ。
……ニンジンがほっぺたについてる……。
あれから3か月、観月からはなんの音沙汰もない。
観月はRYONの体調を気にかけた、とても「いい人」だったようだ。
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