RYONは「合コン」というものに行って来た。
なにやらあまり人見知りしないしノリがいいということで、RYONは合コンのお誘いが結構あるんである。
その日、RYONの設定した飲み会に8人ほど集まり、楽しく会話を交わしながら歓談していた。……テーブルの手前に座っている、5人の男女は。
テーブルの奥にいたRYONを含め3人は、なぜだか修行のようにビールを注いでは飲み注いでは飲みしていた。体育会系の男の子がいたせいだろうか。ピッチャーを頼んではテーブルの奥まで運んでもらい、3人で5杯ものピッチャーを平らげた。単純計算でひとり1杯ちょっとのピッチャーを飲んだことになるのだが、いったいあんな量が体のどこに入ったのやら……。
「酒が進む」というのは、とても楽しいときか、とんでもつまらなくて話すことがなく、つい酒を飲んじゃうときじゃないだろうか。その日は、明らかに「とても楽し」かった。……体育会系の男の子、MASAくんは、とてもジャニーズ顔だったからである。しかもMASAくんはRYONと帰りの方向が一緒だった。
「酔っちゃったのうん」などと電車の中でオイシイことができるかもしれない……。
酒のせいか楽しかったせいか、RYONにとって2次会は3分ほどの長さであった。店に入ったと思ったら、即座にお会計をして出てきた。そしてRYONとMASAくんは一緒の電車に乗った。運良く席が空いていたので、二人並んで座っていた。
……ふと気づくと、MASAくんが降りるべき駅を通り過ぎている。RYONは驚いてRYONの左となりにいるMASAくんの肩を叩きつつ叫んだ。
「MASAくん、MASAくん! 江戸川橋(駅名)、江戸川橋!」
びっくりして飛び起きた男の子が、RYONを見つめていた。
……MASAくん……じゃない……。
2次会の記憶がないほど飲んだRYONは、電車で座るなり寝てしまったらしい。そして、ガーガー寝てるRYONを置き去りにして、MASAくんはさっさとひとりで駅に降りてしまったようなのだ……。
「あ、す、すみません……間違えました……」
と驚いた男の子に謝り、RYONはまた目をつぶった。RYONの向かい側に座っていた女の子たちは、ぺちゃくちゃをお喋りをしていたのだが、しんと黙って、口をむずむずさせていた。
……電車を降りちゃおうかとも思ったが、終電だったためそれもできない……。いいのさ、酔っぱらいの恥はかきすて、だ。
翌日、一緒に飲みに行った女の子が、RYONのところへやってきて言った。ベロベロに酔った2次会で、RYONはポップコーンをわらわらと投げ、MASAくんの耳を引っ張り、カクテルの氷をシュポっと口から吐いて、「爆弾」などとはしゃいでいたそうだ。彼女は付け足した。……店の人がやってきて、これ以上暴れたら罰金を払った上に出ていってもらう、と注意されて、とても恥ずかしかった、と……。
RYONは思う。
彼女はきっと、酔っぱらいをかき捨ててしまいたかったであろう……。そしてMASAくんは、その酔っぱらいを見事にかき捨てて帰っていったのであった。
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