昼間寝ることをRYONは、「徹夜した」という。
昼間ぐうぐう寝ていて、夜に寝られなくなって、朝までまんじりと起きていることも、「徹夜」という。何か用事があって朝まで起きていて、それから寝たとしても、それは「徹夜」。普通、こういうのは単に昼夜が逆転している、と言うのらしい。
この前、後輩の大学生ソリマチくん(仮名)から電話がかかってきた。
「RYONさん、今からRYONさんの部屋に行っていいですか?」
すでに12時をすぎた真夜中である。しかしソリマチくんは、かなりせっぱつまった様子であった。会いたいと言われれば断れない、さみしんぼうのRYONである。お部屋の片づけなどして(ちょっと身だしなみ整えたりして)待っていた。
ソリマチくんがRYONの部屋にきてから、次の日のお昼近くまで、RYONたちは一睡もしなかった。
RYONとソリマチくんはヒトツになって、アツい夜を過ごした。…ヒトツになって、就職活動の提出書類を書いていたのだ。10時間近く、ずっと志望動機だの自己PR(略して自己Pというらしい)を考えていた。しかも、その日だけでは終わらず、次の日も夜中にソリマチくんはやってきて、徹夜していった。
実はここんところ、RYONはソリマチくんの就職活動プロデュースというのをやっている。ソリマチくんは大学4年生なので、現在就職活動の真っ最中なのだ。RYONがひとつ書類を書くごとにラーメン一杯、その書類が通ればプラス餃子とビール、内定がとれればオカマバー、という契約をしてるのだ。
程よく自己Pも進んだ頃、ソリマチくんはRYONに訊ねた。
「RYONさん、RYONさんが今度つき合うとしたら、どんなオトコがいい?」
「そうだなあ〜。第一条件は、RYONがホームページで書いてるコラムを読んでくれること、かな」
「ふぅん…。じゃあ、俺がもし、インターネットとかを始めたら、読むね……」
……うん。……? ん……? これは、もしや……。
RYONは勝負に出てみた。
「ソリマチくんみたいに、視野が広くて柔軟な人って好きよ。いばりんぼうじゃないし、かっこいいよね」
ソリマチくんは、うつむきながら小声で答えた。
「……ロリコン」
二日間も昼夜ひっくり返って「徹夜」状態になったRYONの頭に、この4文字が空しくこだました。……「ロリータ」は、女の子だもん……。ゴホゴホ。