独創的で、個性的な料理

さらに、最近話題になっているのが、「ニュー・オーストラリアン・キュイジーヌ」と呼ばれる、多国籍な味わいの料理です。これは、多民族国家ゆえに、文化の流入が料理に影響を与え、オーストラリア独特の料理文化として確立したもの。より簡単にいうと、さまざまな国の味をミックスしたフュージョン料理で、独創的で個性的なものです。

アデレードにある最高級レストラン『Grange』は、オーストラリアを代表する希少ワインから名付けられたもの。このレストランのシェフ、チョン・リュ−氏は、マスコミでも活躍する、オーストラリアのトップシェフのひとり。左の写真は、「THE FOUR DANCES THE SEA」と名付けられた懐石風の前菜。新鮮な海の幸の繊細な味わいを生かした調理は、比類のないもので、私が今回の旅で最高に感激した一品。
ホタテ、なまこ、竹の子などに青菜やねぎを散らした中華風春雨の炒めもの。『Grange』 魚介類と菜の花を炒めたもので、にんにくとしそが隠し味。繊細な味わい。『Grange』
挽き肉と野菜のパイにアンチョビソースをかけたもの。シドニーの『Fraser』。 しっかりした歯応えのカンガルー・ステーキ。アデレードの『Red Ocher Grill』
先住民族アボリジニ料理をベースに、現代風アレンジの料理。『Red Ocher Grill』。 どこのレストランなのかを忘れてしまいましたが、とても美味だった寿司風の一品。

味わってみると、各国の影響を受けつつも真似事や偽物ではなく、しっかりとしたオリジナルの作品に仕上がっているのです。そんな「ニュー・オーストラリアン・キュイジーヌ」と呼ばれるオーストラリア料理の、様式にとらわれない自由さとオリジナリティが、私を惹き付けてやみません。


ワイナリー・レストランで大自然を眺めながらワインをいただくのは最高の幸せ。

また、最後に忘れてはならないのが、オーストラリアワインの存在です。オーストラリアは世界第2のワイン生産国で、国内には900以上のワイナリーがあり、安くておいしいワインが豊富であることは、みなさんもご存知のことと思います。国内の新鮮な食材に、世界中の料理のいい部分だけを取り入れた、「ニュー・オーストラリアン・キュイジーヌ」。そしてゴージャスでバラエティに富んだワイン。私は今回の旅で、大自然に勝るとも劣らない、オーストラリアの新しい魅力を発見することができました。

 

玉川みどり PROFILE
行動派の30歳。国内・海外問わず数多くの旅行経験を持つ。各地のおいしいものに目がなく、食べ物から次の旅行先が決まることも。最近は、ダイビングに夢中なので、次の旅行は海がきれいで、料理のおいしいところにしようと計画している。