庶民の夢、宝くじについて知りたい!

当たらないとわかっていても、ついつい買ってしまうのが「宝くじ」。もし当たったら車を買い換えたい、別荘を買いたい、家がほしい……夢はふくらむばかり。さあ、あなたも一攫千金を夢見て、宝くしで売り場へ急ぎましょう。



宝くじはいつからある?

テレビの時代劇で「富くじ」というのが出てくるシーンをご存じですか。たいていは貧乏な町人に当たって一騒動というストーリーですが、実はこの「富くじ」が宝くじのルーツです。江戸時代初期、摂津の国の箕面(現在の大阪府箕面市)にあった、龍安寺というお寺が日本で初めて富くじを始めたといわれています。ただしこのときはくじに当たった人には金品ではなく、福を招くお守りが授けられたそうです。その後、富くじは江戸の庶民に大人気となり、あちこちの寺社で売られるようになりました。

ちなみに、富くじは1枚あたり今の貨幣価値でいうと1000円から1万円だったようです。中でも目黒の龍泉寺と谷中の感応寺、それに湯島天神で売られていた富くじは“江戸の三富”として知られていました。しかし、あまりに人々が富くじに熱狂したため幕府は天保13年に寺社に対し、富くじの禁止を言いわたしました。この禁止措置は明治大正になっても続き、宝くじが再開されたのは103年後の昭和20年のことでした。

昭和20年の宝くじの1等はいくらだった?

実をいうと、昭和20年に発売された宝くじは終戦間際の7月、軍事費を捻出するために売り出したもので、1枚10円。「勝ち札」と名付け1等は10万円が当たることになっていました。ところが抽選日が来る前に敗戦を迎えたため「負け札」と呼ばれるようになってしまいました。さて、本格的な宝くじが発売されるのはそれから3か月後の昭和20年10月に発売された「政府第1回宝籤」で、1等賞金は10万円。このころの宝くじは、敗戦で荒廃した日本を復興させるのが目的だったため1枚10円。物資が不足していたので、宝くじに当たると賞金のほかに、石けんや自転車、タバコ、布、シャツ、マッチ、糸、サッカリン(甘味料)、ろうそく……といった副賞がついていたのが時代を感じさせます。

極めつけは昭和23年に売り出された「東京都住宅くじ」で、なんと特賞に当たると一戸建て住宅がもらえるというものでした。しかも、その住宅は今や高級住宅地として知られる東京・麻布というからびっくり。



日本にはどんな宝くじがある?

昭和29年に「政府くじ」が廃止され、宝くじはより射幸性の高いものへと変わり、昭和34年に現在のような「全国自治宝くじ」「「東京都宝くじ」「関東・中部・東北自治宝くじ」「近畿宝くじ」「西日本宝くじ」「地域医療等振興自治宝くじ」の6系統に分類されました。発売元により賞金の額も違っていましたが「全国自治宝くじ」の賞金は魅力的なもので、昭和43年には1等賞金が1000万円となりました。そして、昭和55年の「ドリームジャンボ」は1等が3000万円になりました。次いで昭和62年の「年末ジャンボ」では1等の前後賞を入れて9000万円、平成元年にはついに1億円を突破しました。平成11年の「ドリームジャンボ」からは1等2億円に前後賞各5000万円がついた合計3億円となりました。ジャンボ宝くじは1枚300円ですが、東京都が発売する100円宝くじなど、1等の賞金は少ないけれど少しのお金で楽しめる宝くじも人気があります。

他にも宝くじにはいろいろなものがあります。1984年から始まった「インスタントくじ」は今は「スクラッチ」と呼ばれその場で当たり外れが分かるのが人気となり、毎日売り出されています。1994年から発売されている「ナンバーズ」は、3ケタあるいは4ケタの数字を当てるもので、大当たりや小当たりなどがあります。また、1999年から始まった「ミニロト」や2000年から始まった「ロト6」は、1口200円で5つまたは6つの数字を当てるもので、最高4億円の賞金が出るようになっています。

宝くじにはどんな人が当たる?

昭和20年に1枚10円で売り出した宝くじは1000万枚、1億円分が売れたといいます。時代は変わって平成16年。年末ジャンボ宝くじは売れに売れて実に2175億円。この数字はお年寄りから生まれたばかりの赤ちゃんを含めた国民ひとり当たり5.7枚、1715円も使っている計算になります。ちなみにこの年、平成16年の宝くじの売り上げ総額は1兆742億円。収益は4273億円だったそうです。

ところでどんな人が宝くじに当たりやすいのかというと、男性では宝くじ歴10年以上で魚座、イニシャルはT.K。女性では水瓶座の主婦でイニシャルはK.Mさん。あなたは当てはまりますか?

宝くじの賞金は上限がある?

宝くじの賞金を決める根拠となるのは「当せん金付証票法」と呼ばれる法律で、昭和23年に住宅1棟を副賞につけたのが最初で、その後、この当せん金付証票法は時代とともに改定され、昭和60年には原則として「宝くじ1枚の価格の20万倍まで」となりました。その後1998年の改定では「宝くじ1枚の価格の100万倍が上限」となりました。

ただしこの規定は、総務大臣の指定を受けた宝くじ、と決まっていて、総務大臣の指定を受けていない宝くじ、たとえば東京都の100円宝くじは1等賞金の上限は「宝くじ1枚の価格の20万倍」とされていて1等賞金は2000万円が上限となります。理屈からいえば1枚500円の宝くじなら1等5億円、1枚1000円の宝くじなら1等10億円も夢じゃない!?



外国の宝くじは日本でも買える?

外国では日本と違い1等賞金の上限が決められていない国が多く、たとえばアメリカのように当選者が出ない場合、次の週、それでも当選者が出ないときはその次の週、とキャリーオーバーが続き、何億円から何十億円、ときには何百億円にもなってしまうことが少なくありません。よくニュースなどでアメリカ××州の○○さんが1ドルを元手に100億円を当てた、というような話を耳にします。あなたはうらやましいですか? 実は日本国内では法律によって外国の宝くじは購入できないのです。購入を勧めるダイレクトメールにはくれぐれもだまされないようにしましょう。

買わなければ絶対に当たらない宝くじ。夢だけでも買いますか?

(2007.2.20 取材/ジャーナリスト・金子保知)

宝くじ参考サイト
みずほ銀行宝くじコーナー http://www.takarakuji.mizuhobank.co.jp/