LADYWEB講座|Lady's Clinic

ドクター河村のレディース・クリニック


質問 生理不順で悩んでいます。原因は何なのでしょうか?
生理不順で悩んでいます。生理と生理の間隔も一定しておらず、最近は順調に来ることのほうがまれで、短いと10日以内で次が始まり、長いと2か月以上も来ないことがあります。出血している日数もいろいろで、5日前後で終わることもありますが、長いときは、少量の出血ですが10日以上続くこともあります。また生理とは違う、茶褐色のおりもののようなものが出ることも時々あります。数年前までは比較的順調に生理がありました。原因は何でしょうか。排卵はしているでしょうか。治療は必要ですか。また、将来妊娠には問題ないでしょうか。(愛知県・K.I)


回答 さまざまな原因が考えられますので、一度婦人科の受診をおすすめします
月経は「約1か月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義されており、正常範囲とは、月経周期が25〜38日、出血持続日数が3〜7日とされています。脳の中の視床下部や下垂体、あるいは卵巣からのホルモンや、その他の臓器から出るホルモンがバランスよく分泌されることで、月経周期、月経の日数や量も安定することになります。

28〜30日間前後で毎月きっちりと月経がある場合の多くは、排卵している可能性が高いです。逆に、これらのホルモンバランスが崩れると、月経が不順になり、月経の日数や量も不安定になります。

ホルモンバランスが崩れる原因としては、もともと体質的に脳や卵巣からのホルモン分泌に問題があるケースもありますが、順調であった月経がその後不順になる原因として、急激なダイエットや逆に太りすぎる場合、さまざまな精神的ストレス(就職や転居など環境の変化、人間関係その他)が加わっている場合、激しい運動などがよく認められます。

月経不順の原因として、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と呼ばれている、男性ホルモンが過剰に分泌されたり、卵巣や脳からのホルモン分泌に異常をきたすものもあります。また、特定の薬(神経科の薬や、胃薬など)の内服により、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が過剰に分泌されたりして月経が不順になることもあります。非常にまれですが、脳下垂体性腫瘍が原因のものもあります。

この他に、脳や卵巣以外に原因が見つかることもあります。たとえば、甲状腺や副腎の機能に異常があったり、糖尿病が潜んでいることもあります。

月経とは異なると思われる茶褐色のおりものも、出血であることには変わりなく、ふだん月経不順がある方でこのような茶褐色のおりものがある場合の多くは、ホルモンバランスの問題で生じます。しかしながら、不正性器出血をきたす他の病気もまったくないとはいえませんし、子宮癌検診も含めて、診察・検査をしておかれたほうがよいでしょう。

ホルモンバランスが原因と思われる月経不順に対しては、その原因を血液検査などで確認し、程度により治療を行うこともあります。特に排卵がうまく起きていない場合に妊娠の希望があるなら、排卵がおきるような治療が必要となります。

また、現在妊娠は望んでいない場合も、体内のホルモンバランスを保ち、月経周期を安定させるために、ホルモン剤を周期的に内服していただくこともあります。いずれにせよ、このような月経不順があっても適切な治療をすれば、妊娠できないということはまずありません。

以上のことから、月経不順に不正性器出血がある場合には、できれば基礎体温をつけ、一度婦人科を受診されることをおすすめいたします。(2003.5.17)