LADYWEB講座|Lady's Clinic

ドクター河村のレディース・クリニック


質問 排卵痛から何時間後までに性交すれば、妊娠の可能性が高くなるのでしょうか?
私は40歳の主婦です。私の主人は精子がやや少ないらしく、私もできにくい体質なのか、なかなか妊娠しませんでした。すっかり諦めていたある日、突然妊娠し、結婚14年目、私が39歳のときに最初の子供が生まれました。現在、1歳8か月になります。私も年が年なので、できるものならば次の子を早く欲しいと思っています。生理開始日から14日目ごろに生理痛のような痛みがあるのですが、それが排卵痛なのでしょうか? 痛いときに排卵しているんでしょうか? また、痛みに対して何時間後までに性交すれば、妊娠の可能性が高くなるのでしょうか?(東京・匿名希望・専業主婦)


回答 排卵痛のみを目安に性交渉を持っても、必ずしもタイミングが合うとは限りません
排卵痛は、排卵期に起きる痛みであり、

(1)卵胞(卵子が入っている、卵胞液で満たされた袋)の発育に伴い、排卵前から痛む場合。
(2)排卵で卵胞が破れるときに痛む場合。
(3)排卵後に排卵時の卵胞破裂部位からの出血による、腹膜刺激により痛む場合。
(4)排卵後に卵胞内に血液が溜まり腫れて痛む場合。

……などが考えられます。したがって、排卵の瞬間のみに痛みを感じるとは限りません。

排卵時に痛みを感じるのであれば、それを指標に性交渉を持てば、タイミングが合うことになりますが、排卵後に痛む可能性があることも考えると、この痛みのみを目安に性交渉を持つことは、必ずしもタイミングが合うとは限らないことになります。なぜなら、卵子が受精可能であるのは、排卵後12〜24時間以内といわれているからです。

排卵のタイミングをはずさないで性交渉を持つためには、この痛みに頼るのではなく、頚管粘液をご自分で調べたり、市販もされている尿による排卵検査薬を使用したり、また婦人科での経膣超音波検査により、卵胞を計測してもらい排卵を予測するほうがより確実です。

排卵と痛みの関係を知るために、基礎体温表をつけて、痛みがどの日にあたっているか記載してみることも参考になります。ただし、基礎体温表で排卵日を事前に知ることができるとは限りません。一般的に基礎体温上では、低温相の最終日か、少し上昇を始めたあたりが排卵日であることが多いのですが、その前後の日の場合もあり、確実というわけではありません。排卵日に体温が少し下がるかたもいらっしゃいますが、必ず下がるとは限りませんので、基礎体温のみで排卵日を見つけ出し、性交渉のタイミングを計るのは無理があります。基礎体温表はあくまでも目安にしかなりません。

また、一般的に妊娠可能な年齢であるご夫婦が、ご夫婦ともに妊娠することに関して問題がなくても、人間が1回の月経周期あたりで妊娠できる確率は20〜30%程度といわれています。年齢(特に妻側の)が高くなればこの数字はさらに低下し、不妊期間が長い方では妊娠の確率は一層低くなります。これらのことから、質問者の方の40歳というご年齢や過去の長期間に渡る不妊期間を考慮すると、排卵痛と思われる痛みのみに頼って性交渉のタイミングを計るのではなく、タイミングを計るための他の方法も取り入れ、できれば婦人科でより確実なタイミング指導をお受けになることをおすすめいたします。

また、ご主人の精子が少ないことも原因になっているのであれば、より早い妊娠のためには、タイミング指導のみならず人工授精などの治療も検討する必要があるかもしれません。(2002.11.21)